山百合


 

 

 遠くに入道雲を見ながら作谷沢の県民の森に行ったときです。雑木林の中に入って行くと、心地よい風、小鳥のさえずり、森林の緑に囲まれた、時間が止まったような空間がありました。

 そこで、牛命の息吹を感じる花を見つけました。風雪に耐えながらひっそりと大地に棍をはり、太陽の光に輝く山百合(やまゆり)です。木
々の濃緑と競うように咲く花びらの白色と強い香りが山野に溶けていく。幸せな気持ちにさせてくれるこの花をどうしても描きたくなりまし
た。無心に筆を動かし、時間が過ぎるのも忘れてスケッチブックに措きあげました。

 同じ種類の花でも、姿は異なり独特の顔を持っています。山百合の葉の形も大きさもそれぞれ個性があります。雑念を捨て、その顔を丹念に描いてやるのです。そして、生き生きとした花の心を読み取るのです。

 スケッチを終えた帰り道、山道になにやら動くものがありました。「鴨(かも)の子かな」と思いましたが、道沿いに水たまりがあるわけでもないし。もう一度そっと見ました。驚いたことに、雉(きじ)の子が六羽仲良く遊んでいるではありませんか。親鳥が辺りに気を配りながらそばで見守っています。

 生命に満ちあふれた夏の作谷沢は、なんとも楽しい。

(水彩画と文 渋谷勝男=和菓子店主)
 
     

 

   

 

   
       
 
朝日新聞山形県版に、夢彩彩を連載しておりました。

夢彩彩、web山形ホームページにてぜひお楽しみ下さい。
渋谷勝男の経歴
   
昭和12年 朝日町宮宿に生まれる
  飛塚安吉先生の指導で17才で県展初入選
  21、22才で個展開く
  県水彩画展 −− 市長賞 山新賞
35年 示現会入選
37年 県展奨励賞
38年 日本水彩連盟入選、以後5回
39年 県展賞
42、44年 県展山新賞
45年 県展賞
56年 示現会湊賞、日本水彩画展奨励賞
   
現 職  県展無鑑査、白風会会員、県美連会員、
     県水彩画会員  示現会準会員