ヤマユリ


 

 

 数年前のことだ。そのころ、私は盆栽に夢中だっ
た。配達の帰りなど、暇さえあれば、くねった山道を運転して、山形市岩波にある園芸店によく立ち寄った。
 
 敷地は山に囲まれ、手入れが行き届いた庭からは、小川のせせらぎが聞こえてきた。ご主人が、いつもにこやかに出迎えてくれた。
 
 園芸店には季節の花がいつも咲き乱れ、目を楽しませてくれた。見事な花を咲かせるさつきの鉢植えのほか、もみじやつた、山野草などがつくりだす気品のある情景は、見ていてあきることがなかった。

 ご主人は、この道一筋に40年余。盆栽の古木は、上品な立ち上がりの中に、秘めた厳しさも感じさせてくれた。一種の芸術品で、すばらしい絵を見ているような気持ちになった。そのうえ、うんちくのあるご主人の話も楽しかった。

 「箱庭」のような園芸店からの帰り道、夏の太陽の光に輝くヤマユリを見つけた。独特の強い香りが山野に溶けだしており、いい知れぬ幸せを感じた。手塩にかけて育てられた盆栽と風雪を耐え忍んで咲く大輪の花。その対比の激しさに感動して、ヤマユリの花の心を一気に描き上げた。 


(水彩画と文 渋谷勝男=和菓子店主)
 
     

 

   

 

   
       
 
朝日新聞山形県版に、夢彩彩を連載しておりました。

夢彩彩、web山形ホームページにてぜひお楽しみ下さい。
渋谷勝男の経歴
   
昭和12年 朝日町宮宿に生まれる
  飛塚安吉先生の指導で17才で県展初入選
  21、22才で個展開く
  県水彩画展 −− 市長賞 山新賞
35年 示現会入選
37年 県展奨励賞
38年 日本水彩連盟入選、以後5回
39年 県展賞
42、44年 県展山新賞
45年 県展賞
56年 示現会湊賞、日本水彩画展奨励賞
   
現 職  県展無鑑査、白風会会員、県美連会員、
     県水彩画会員  示現会準会員