記者が歩いたみちのくの四季

温泉 そのA

東京に帰り、たとえばJRの駅に行くと、東北の観光ポスターがよく張られています。冬は「あったまっています、東北」のコピーと、湯気が立ち上る温泉の写真。温泉王国らしさが出ています。
赴任していた仙台の秋保、作並、岩手の花巻や盛岡のつなぎ、青森の浅虫、山形の蔵王、福島の磐梯熱海や土湯など、全国的にも有名な温泉地にも行きましたが、「秘湯」っぽい感じの温泉のほうが、情緒があります。加えて、温泉の効能が特に有名な温泉も数多くあります。

秋田県の玉川温泉。よく、秘湯ムードを漂わせた観光ポスターやガイドブックなどに登場します。天然記念物の北投石というラジウムを放出する石が、この温泉の効能を有名にしています。がんをはじめ、さまざまな病気に効くというので、湯治客が絶えないところでもあります。田沢湖から国道341号線を鹿角に向かって北上し、八甲田の山の中にあります。立ち寄ったのはまだ雪が残る早春。しかも土砂降りに近い雨でした。

源泉がある玉川温泉と、その湯を引く新玉川温泉があります。どうせならと、玉川温泉で日帰り入浴にしました。浴室は木造、大きな湯船のほかにも、寝湯や打たせ湯、サウナのような蒸し風呂など、いくつかのエリアに分かれています。お湯は強酸性。源泉は100度ぐらいといいます。お湯に入ると、体のあちこちがピリピリします。顔を洗うと、ひげそり跡の中で深剃りしてしまったところがピリッと痛みます。それほど、刺激が強いということです。なので、殺菌力が強く、効能を発揮することになります。外では岩盤浴ができるのですが、冷たい大雨が降る中、断念しました。

八甲田山の青森県側には、これも秘湯ムード漂う酸ヶ湯(すかゆ)温泉があります。白濁の湯で、こちらも酸性。硫黄の臭いがしますが、すぐに鼻は慣れます。大浴場に入ると、階段で下りて行きます。ここは混浴ということですが、入口は男女別です。内部はやはり木造。熱い湯やぬるめの湯など、湯船ごとにバリエーションがあります。奥に、青森名産のひばでつくられた「ひば千人風呂」といわれる大きな湯船があります。そこに入ると、右手のほうに女性。え? この大きな湯船には男女の仕切りがありませんでした。混浴の経験はほとんどないので、突然女性に出会うと少しどぎまぎします。相手も同じかもしれませんが。男女を分ける目印があるそうですが、私は気付きませんでした。

そのほかにも、東北には「秘湯」と呼ばれるところが数多くあります。日本海に面した海岸の露天風呂がある不老不死温泉もおもしろかった。田沢湖からほど近い、乳頭温泉郷もゆったりとした気分になります。山形県米沢市にある奥州3高湯の1つ、白布温泉の萱葺き屋根の旅館も風情がありました。大正時代の旅館が立ち並ぶ山形の銀山温泉には行きそびれたなあ。秋田、宮城にまたがる栗駒山の紅葉を露天風呂から眺めるのが最高らしい・・・。こんな「秘湯」探しができるのも、東北の魅力の1つでしょう。

玉川温泉
乳頭温泉妙の湯