記者が歩いたみちのくの四季

東北の食 宮城

「きく」って知ってます?北東北では「たち」ともいいます。そう、マダラの白子です。北海道生まれの私は、タラの白子はポピュラーな食べ物でした。ただ、実家で食べるときは火を通す食べ方で、鍋や味噌汁にいれていました。  季節は冬。仙台の居酒屋に「たらきく」または「きく」というメニューがかかります。最初は何か分かりませんでしたが。きくは、生で食べるのが基本。ポン酢にもみじおろしで、あさつきを散らしてある、というのが普通の食べ方でしょうか。火を通すよりも、濃厚な甘みが口の中に広がり、すっかり「マイ冬の風物詩」になりました。ただ、食べすぎはよくないようですので、ご注意を。

石巻、塩釜などの漁港があることもあり、仙台、宮城県は海の幸がおいしいところです。これは、東北全県にもいえることなのですが、仙台駐在だったので、やはり仙台で食べることがほとんどでしたから、魚好きとしてはこんないい環境はありません。  「いい鯨がはいったよ。最近じゃめったに手に入らないやつだ」と、20年来お邪魔している和食店のご主人。女川で揚がったというミンク鯨の刺身。一緒に食べた後輩が「やばいですよ」というので「日本語の使い方が違うだろ」と説教しながら、いまや貴重な鯨を堪能しました。

秋にはサンマ攻勢。少々大げさにいえば、どこの店に行ってもサンマがでてくる、という状況。シンプルに焼いて大根おろしですが、刺身にしたり、煮たり、揚げたりといろいろなサンマ料理を食べられたのも、旬にその場にいたからなのでしょう。

海産物だけではなく、仙台名物といえば、牛タン。狂牛病(BSE)の影響をもろに受けましたが、仙台の牛タン文化は死にませんでした。塩、コショウで焼いて食べる(もちろん、丁寧な下ごしらえはあるのでしょう)のが主。市内にいくつかある「太助」という店が発祥です。そのほかにも、有名な店がたくさんありますが、私は後輩に教えられた店が好きでした。厚みがありながら、柔らかく、焼きだけではなく、カツもそれまで味わったことがないものでした。私が仙台から東京に帰任後、残念ながらご主人が急逝されました。その店で食事をして、最終の新幹線で帰任したことが思い出されます。

もう1人、残念な方がいました。日刊スポーツ東北版で野球評論をお願いしている佐々木信行さんが経営されている店の「板さん」。自分で山にはいって取ってきたきのこの鍋。こんなに大きななめこがあるのか、とびっくりしたものです。私の仙台生活の「食堂」でもありましたが、事故で急逝されました。お二人のご冥福をお祈りします。